ホームページ制作会社東北ウェブが、岩手の伝統工芸品をご紹介します。
南部鉄器
伝統的工芸品として全国第1号の指定をうけた南部鉄器
岩手県の代表的特産品として全国にその名を知られている南部鉄器は、盛岡市と水沢市の二つの地域で生産されています。
盛岡の南部鉄器は、17世紀の初め、時の南部藩主、南部利直が盛岡城築城のおり、京都から釜師を召しかかえ、茶の湯釜を造らせたのが始まりといわれています。
また、水沢の鋳物は、平安時代末期、藤原清衡が近江国(現在の滋賀県)から鋳物職人を招き、武具や仏具を造らせたのが始まりといわれています。
製造工程は、「作図」「木型製作」「型挽き」「文様押し」「型焼き」「鋳型組立」「溶解注湯」「型出砂落し」「釜焼き」「着色仕上」「鉉の取付」の順に、ていねいに仕上げられています。
南部鉄器の代表格である南部鉄瓶は、錆びを防ぐための「金気止め」が施されていますが、これは、900度の炭火の中に30分位、鉄瓶を入れて焼くことを言い、南部鉄瓶独特の技術です。
主な商品は、鉄瓶、茶の湯釜、すきやき鍋などですが、これらで沸かした湯や調理した料理には、鉄分が多く溶出しており、貧血防止に大変良いということが証明されています。
また、南部風鈴は、澄んだ音色で親しみ深い一品です。
岩谷堂箪笥
孫子の代まで受け継がれる岩谷堂箪笥
江戸時代の天明年間からの歴史を持つ箪笥です。当時の岩谷堂城主の岩城村将が、米だけにたよる財源から抜け出すため、木工品の商品化を研究したことが始まりと伝えられています。
昭和29年頃に、最高生産高をあげ、その後、大量生産の一般家具におされましたが、再び民芸調ブームに支えられて、昭和57年には伝統的工芸品に指定され、現在も生産は伸長しています。
主材料は、桐、欅(けやき)、栗といった良質の素材を使用しています。美しい木目、味わい深く重厚な漆(うるし)塗り、華麗で豪快な手彫りの金具が、岩谷堂箪笥の特徴です。
製造工程は、「木取り」「木地加工」「組み立て」「漆塗装」「金具取付け」「総仕上げ」の順に行い、いずれの技法も一級品の技です。
堅牢さと重厚さのなかにも、華麗で繊細さを併せもつ岩谷堂箪笥は、和室はもちろんのこと、現代のインテリア空間にも映える、貴重な家具といえます。
秀衡塗
平泉・藤原秀衡の命によって制作されたという秀衡塗
平成4年度の岩手県の生うるしの生産量は2,705キログラムで、国内シェアの57%、日本一の生産量を誇っています。
秀衡塗は、その名のとおり、中尊寺金色堂をはじめとする仏教美術を平泉にもたらした、奥州藤原氏に端を発しています。藤原氏滅亡後の歴史はさだかではありませんが、江戸時代後期からは、平泉の隣、衣川で産地が形成され昭和に至りました。昭和30年の衣川ダム建設に伴い、生産地は県南に広く分かれ、盛岡市、花巻市、水沢市、平泉町、胆沢町、大東町で現在、生産されています。
主な商品は、汁椀、吸椀、盆、茶托などですが、いずれも朱・黒・金の3色が、気品を漂わせています。
製造工程は、橡(とち)、欅(けやき)などの素材を乾燥させて木地を造る「素地作業」、完成させた木地を生漆で固め、弱い部分に布を着せ漆で固める「下地作業」、下塗り、中塗り、上塗りと塗を重ねていく「上塗作業」、雲形の文様を描き、その文様が乾燥する直前に金箔を置き貼り付け、雲の外側に上絵をつける「加飾作業」と各工程があります。
昭和60年には、国の伝統的工芸品の指定を受けた、味わいある漆器です。
浄法寺塗
「蒔地法」を用いる強度な漆器、浄法寺塗
開山1200年余年の歴史をもつ浄法寺町にある天台寺にて、僧侶が寺の什器として制作、使用し始めたのが、浄法寺塗の始まりといわれています。江戸時代には、「南部うるし」「浄法寺うるし」と呼ばれ、盛岡藩の重要な産物となって、国産うるしの代表格となりました。明治時代になると、藩の保護がなくなり、衰退の一途をたどりました。しかし近年復活し、平成7年には、浄法寺町が「滴生舎」を設置し、漆器等の加工技術の普及奨励、地場産業の振興を進めています。
浄法寺塗の特徴は、「蒔地法」という下地づくりにあります。これは漆を塗り、その漆が乾く前に「地の粉」と呼ばれる多項質の珪藻土を蒔きつけ、更に塗り固めるという技法です。この「蒔地法」が他と比べて、非常に強度な下地になります。
主な商品は、汁椀、盛皿、片口などです。昭和60年には、国の伝統的工芸品に指定されています。
久慈琥珀
数千万年の歴史が彩る「久慈琥珀(くじこはく)」
岩手県久慈市は、日本唯一の琥珀の加工産地です。
琥珀とは、新生代第三紀の松柏科植物の樹脂の化石のことです。つまり、マツやスギ、ヒノキなどの樹脂が地中で化石化したものです。
古来から採取が行われており、古墳時代には勾玉(まがたま)やなつめ玉などに加工され、貴重な装身具として用いられていました。褐赤色や黄色にきらめく宝石に、古代の人々も魅せられたのでしょう。江戸時代にも、盛岡藩の重要な産物のひとつとして、盛んに掘られており、現在も国内唯一の加工産地として隆盛しています。
製造工程は、「原石の採掘」「石の選別と切断」「研削」「伐型」「研磨」「艶だし」「金具付け」「検品」「製品」の順に、すべて手作業で行われます。
主な商品は、ペンダント、ネックレス、タイピンなどの装飾品で、季節を問わず使えるアクセサリーとして親しまれています。
チャグチャグ馬コ
馬への愛着を示す、岩手県の代表郷土玩具「チャグチャグ馬コ」
岩手は古くから名の知れた馬産地で、江戸時代の全盛期には「日本一の名馬産地」とも呼ばれていました。
北国の初夏を告げる風物詩「チャグチャグ馬コ」は、現在盛岡市内では、華麗に着飾った百頭もの南部駒の一大パレードとなっています。
郷土玩具の「チャグチャグ馬コ」は、昭和22、23年頃から制作され始めました。近年では、盛岡手づくり村での体験学習も行われ、幅広い人気を博しています。
木彫で彩色仕上げをし、さらに装束を飾り付けるという技法とともに、馬への慈しみの心が加味された、愛すべき民芸品です。
忍び駒
素朴な馬人形「忍び駒」
稲藁(いなわら)を材料に、美しい布で飾られた、岩手県花巻地方独特な馬人形です。
花巻地方では、古くから、縁結びや子孫繁栄、五穀豊穣などの祈願の使い駒として、円万寺観音に伝えられていました。人目を忍んで藁馬を供え、その成就の後には、美しく色布や鈴などで飾り、お礼参りをしました。
現在でも、縁起の良い郷土玩具として、愛されています。