青森県の伝統工芸品

こぎん刺 青森県の伝統工芸品

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津軽焼

津軽の風土を映す「津軽焼」

津軽焼の源流は、津軽藩四代藩主津軽信政によって集められた陶工たちが築いた平清水焼、大沢焼、下川原焼、悪戸焼にあります。江戸時代には、主に津軽藩の調度品や日用雑器が焼かれていましたが、明治時代には、他県の焼物に押され、大正時代には、一時途絶えてしまいました。しかし昭和になって再興が果たされ、現在に至っています。
製造工程は、「土練り」「成形」「加工」「乾燥」「素焼」「下絵付け」「施釉」「本焼(焼成)」の順に行われます。
主な商品は、茶器、花器、酒器、皿などですが、黒天目釉や木灰を材料とする土灰釉などの釉薬が醸しだす独特の色合いは、素朴さと芸術性とを兼ね備えた焼物となっています。

あけび蔓細工

丹念に編み込まれた津軽のぬくもり「あけび蔓細工」

江戸時代の末に、岩木山麓の嶽温泉(だけおんせん)で、湯治客への土産物として、付近の山々に自生するあけび蔓を採取して炭籠や手提げ籠などを作ったのが始まりといわれています。
明治以降には、内外の展覧会をはじめ、広く海外へも市場を広げました。
製造工程は、「蔓の選定」「陰干し乾燥」「水に浸す」「節取り」「底編み」「胴編み」「縁編み」「手付け」「端切り」「仕上げ」の順に、すべて手作業で行います。
主な商品は、手提げ籠、盆、ざるなどですが、手間ひまをかけて丹念に仕上げられる風合い、野趣豊かな手触り、並編みや、こだし編みなどの多彩な編み模様は、落ち着きと自然の温かさを感じさせます。

こぎん刺

繊細な紋様に込められた津軽の情熱「こぎん刺」

江戸時代、津軽の農民は、木綿の衣料を着ることが許されていませんでした。そのため麻地の着物を何枚も重ね着して、寒さをしのぎました。そんな時代、農村の女性たちは、保温と補強のために、麻の布地の要所要所に、木綿で刺し子を施しました。そして、いつ、誰が考案したともなく美しい紋様が生まれ、伝承されてきたのが今に伝わる「こぎん刺」です。
こぎん刺の特徴は、藍染めの麻地に、白い木綿糸で織目に沿って手刺しするところです。最近では、用途によって麻地だけでなく、木綿地やウール地なども用いられています。
製造工程は、「糸より」「麻地染め」「生地織り」「生地を整える」「裁断」「刺し」「仕上げ」「加工」の順に行われます。 主な商品は、巾着、帯、バック、ネクタイなどです。
この素朴で美しい幾何学模様は、一針一針丹念に刺し続ける、北国の女性の繊細さと力強さを象徴しているようです。

津軽塗

堅牢で繊細、モダン感覚あふれる「津軽塗」

津軽塗の始まりは、津軽藩第四代藩主信政の時代に、藩召し抱えの塗師、池田源兵衛が創始者と伝えられています。信政は、藩の産業や文化を活性化するために、諸国から指導者や技術者を多数召し抱えました。武士の刀の鞘などの武具や煙草盆などの調度品が、津軽塗の出発点でした。
津軽塗が産業としての形を整えたのは、明治初頭で、藩政下の一世紀半にわたって積み重ねられてきた伝統技術を土台に、産業化の糸口が開かれました。その後も各時代の好みに応じながら、多種多様な津軽塗を、築き上げてきました。
津軽塗の製造工程は、「木地固め」「布着せ」「地付け」「仕掛け」「彩色」「荒研ぎ」「炭はぎ」「摺漆」「艶付け」「上塗り」の順で行われますが、ヒバの素地から塗り、研ぎ、磨きを繰り返し、約50もの工程に細分されています。
津軽塗の代表的技法の種類は、唐塗、七々子塗、紋紗塗、錦塗の四種です。この技法は、現在まで脈々と受け継がれ、現代風のアレンジも加わり、多様な紋様を生み出しています。
主な商品は、椀、重箱、テープル、茶器、花器、盆、箸などですが、いずれも彩り豊かな手作りの風格を持っています。
昭和50年には、国の伝統的工芸品に指定されています。

津軽凧絵

津軽の空に勇壮に武者が舞う「津軽凧」

津軽凧は、貧窮に苦しむ津軽藩士の内職として、江戸時代から作られるようになったといいます。
凧は、通常、竹を使って作られますが、津軽地方は寒さのため、竹がなかなか育たないため、津軽凧の骨には、軽くて弾力性に富むヒバ材を薄く削ったものが用いられています。
凧絵には、三国志や水滸伝などを題材にした武者絵が多く描かれています。
製造工程は、凧絵になる「墨描き」「髪描き」「色付け」、骨作りの「木取り」「骨組み」があり、これを合体させる「絵張り」「縁取り」「糸がけ」の順に行われます。
太く力強い墨の線と、赤を基調とした鮮やかな色彩で描き出される武者は、弘前ねぷたさながらに、見る者を魅了させてくれます。
主な商品は、凧の他に金魚ねぶたがあります。

南部裂織

古布を裂いて新しい織物を生み出す「南部裂織(なんぶさきおり)」

南部裂織は、衣料が貴重だった江戸時代に、着古した着物や布を再生する機織りの一技法として生み出された織物です。厳しい生活を強いられた農村地方の女性たちの知恵の産物といえましょう。
裂織の特徴は、細く裂いた布を横糸に、木綿糸を縦糸にして、地機で織ることにあります。こうして織った裂織は、丈夫で暖かく、変化に富んだ色彩と複雑な機上げが、なんとも言えない風合いを醸し出します。
製造工程は、「整経」「筬通し(おさとおし)」「男巻き(おまき)」「綾越し」「糸綜絖作り」「元寄せ」「機上げ」「製織」の順で行われます。
主な商品は、こたつ掛けや帯などですが、現在はテーブルセンターや手提げバックなど、様々な手織物として応用されています。